キー付き7孔尺八(その1 紹介)

「キー付き7孔尺八」をご紹介します。

製管師(演奏家でもある)の船明啓耳さんに依頼して、従来タイプの尺八を「キー付き7孔尺八」に改造していただきました。普通の7孔尺八との違いは一ヶ所だけです。右手の小指の小孔を、指で直接開閉するのではなく、フルートのようにキーで行います。キーを押さえると孔が開き(甲乙のツの大メリ)ます。普通の7孔尺八とは開閉動作が逆になります。

キー付き7孔尺八

キー付き7孔尺八


キーは、バロックフルート(フラウト・トラベルソ)のキーを流用し、長さを短くして使用しています。バネ部分が短縮したときに使えなくなったので、今は輪ゴムで急場をしのいでいます。
キー部分の拡大写真

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「キー付き7孔尺八」の試作版が出来上がってから一ヶ月ほど練習していますが、基本的な楽器の鳴りの良さ(船明さんが調整)に加えて、キー付きとしたメリットがたくさん見えてきました。本番で使えそうです。

「キー付き7孔尺八」のメリットを以下にまとめてみます。

  • 邦楽ではツの大メリの音(E♭)は小さな音でもかまわない場合が多いですが、洋楽の曲などではもっと音量が欲しくなる場合があります。「キー付き7孔尺八」の最大の特徴は、明るくて大きなE♭の音が得られることです。キーにより、右小指の小孔の位置を下げ、大きくできるためにそれが可能になりました。
  • 大甲のツ(2オクターブ上のF)が比較的簡単に出る。普通の7孔尺八でもこのFは出ますが(5孔では無理に近い)、ちょっと苦しげで、できれば避けたい音です。「キー付き7孔尺八」では、キーを押さえる(孔を開く)と、かなり容易に出せます。この音が無理なく出せると演奏可能な曲の範囲が拡がります
  • キーを使わなければ、5孔尺八と機能的にまったく同一(B♭の小孔は指で閉じたままとするか、ビニールテープで塞いでおきます)。つまり5尺八を兼ね備えているわけです。ですから、「キー付き7孔尺八」一本で5孔としても7孔としても演奏ができます。
  • 長管も7孔にできる。普通の7孔尺八では、普通は1尺6寸から1尺8寸を7孔として使用します。それより長くなると、小指が届く範囲に、小さな孔しか開けられず、弱い音しか出ないので2尺を超えるとあまり実用的ではありません。演奏するのも困難になります。「キー付き7孔尺八」では小指の孔をキーの長さだけ下に、しかも孔の径をある程度大きくでき、長管でも十分な大きさの音が確保出来そうです。2尺4寸(A管)当たりまでは、トラベルソのキーの流用で間に合いそうです。
  • 5孔尺八に慣れた人が7孔尺八を新たに始める場合、「キー付き7孔尺八」のほうが覚えやすいと思います。普通の7孔尺八ではロ音その他の音で小指を押さえなければならず、5孔と運指が異なって来ますが、、「キー付き7孔尺八」ではキーを使う場合以外は運指が基本的には同じです。
  • このように、右小指を押さえる場合の数が、平均して普通の7孔尺八より少なくなりますので、その分全体的に運指が楽になったような気がします。
  • また、トラベルソを演奏される方が7孔尺八を演奏する場合、「キー付き7孔尺八」が絶対に必要。普通の7孔尺八では小指の開閉が逆になり、とても両方を使い分けるのは困難だからです。事実、トラベルソをされている方から、以前とトラベルソタイプのキーの取り付け依頼が船明さんのところあったそうです。

公平を期すために、メリットだけでなくデメリットも記しておきましょう。

  • 普通の7孔尺八に慣れている人は、ツの大メリが絡むパッセージは練習し直しになります。レパートリーの多い人は大変ですね。両方のタイプの7孔尺八を使い分けるのは難しいと思われるので、どちらかを選択する必要があるでしょう。
  • 「草笛の頃」(宮田耕八朗作曲)などの場合のように、E♭を含むパッセージを超高速で演奏するにはキーでは追いつかない心配があります。こういう曲では普通の7孔に軍配が上がるかもしれません。
  • キーといういかめしいものが付くことで、尺八のシンプルな美しさが失われるような気がします。それでも、ルネッサンスフルート(キー無し)にキーを一つ付けたトラベルソが革命的な改良であったことを思うと、キーを付けたことで得られるものの多さと引き換えに、この欠点は我慢するとしましょう。キーをさらに増やす計画は今のところありません。

今後の課題は、キーをバネ付きで、取り付け容易なものにすることです。進展がありましたら、また記事を書きます。

また、ご興味を持たれた方は、コメント等お寄せ下さい。

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